ここ数年、住宅ローン金利は過去に例を見ないほどの低水準で推移しています。コロナ禍では、フラット35の住宅ローン金利が微増を続けていましたが、2020年6月には3ヶ月ぶりに下降しました。
借入期間21年以上(融資率9割以下)の金利は、年1.290%(前月比0.01%下降)~年2.030%(同変動なし)。取扱金融機関が提供する金利で最も多い金利(最頻金利)は、年1.290%(同0.01%下降)となった。
住宅ローン金利は、低ければ低いほど、不動産の購入希望者が増えます。つまり、売主によっても好都合だということ。気になるのは、「withコロナ」ともいわれるこれからの時代に、住宅ローン金利がどう推移していくかではないでしょうか?
住宅ローン金利が決まる仕組み
住宅ローン金利が決まる仕組みは、「変動金利」と「固定金利」によって違いがあります。仕組みの詳細を理解する必要はありませんが、『景気が上向けば金利が上がる』『景気が悪ければ金利は下がる』のが基本ということは認識しておくといいでしょう。
変動金利
変動金利の水準は、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」によって推移します。簡単にいえば、日銀による金利政策によって変わる金利です。現在は、「異次元」といわれる金融緩和政策が継続しているため、変動金利水準が低いというわけですね。
固定金利
一方で、固定金利の水準は、「新発10年物国債」の金利が基準となります。新発10年物国債のような長期の金利が影響を受けるのは、物価やインフレなどの将来予測。こちらも現在、金融緩和政策によって長期国債の金利上昇が収まるように誘導しているため、金融緩和政策の行方が金利水準に影響するといっていいでしょう。
アフターコロナに住宅ローン金利はどうなるのか?
では、これから住宅ローン金利はどう推移していくのでしょうか?
初めにお伝えしておきますが、今後の経済、景気、そして金利については、予想の範疇を出ません。確実に「こうなる!」とは誰にもわからないということは、頭に入れておかなければなりません。
住宅ローン金利はアフターコロナの日本の経済次第
とはいえ、これからすぐに日本の景気が上向くとは考えにくいといえるでしょう。つまり、景気がよくならない=金利水準が上昇する可能性は低いと見られるわけです。
いまだ、新型コロナウィルスの第二波、第三波が来ないとも限りませんし、6/24(水)には東京の新規感染者が50日ぶりに50人を上回りました。やはり経済が上向くためには、人やモノの流れがコロナ前に戻ることは不可欠だと考えられます。
今の金利水準は、日銀による金融緩和政策によるところが大きいですが、金融緩和政策で目指すのは「物価上昇率2%」。今の日本の経済状況では、しばらくは金融機緩和政策を終えるという選択はできないはずです。
金利水準は売主に追い風…とはいえ、いまだ不動産流通の動きは鈍化
不動産の売り時は、住宅ローン金利だけで判断できはるわけではありません。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、今の不動産流通の動きは鈍化しています。
(出典:東日本レインズ)
上記は中古マンション、下記は中古戸建の首都圏の流通数の推移を表したものです。赤線が成約件数の推移ですが、いずれも2020年5月の成約数は、前年同月比にして-20~40%。ただ、4月と比較すると5月は回復傾向にあるといえます。
(出典:東日本レインズ)
まとめ
住宅ローン金利は、今後しばらくは急激に水準を上げるようなことはないと考えられます。しかし、だからといってwithコロナ時代に不動産が売りやすいとはいえません。今後も中古物件の成約数・成約価格は、大きく変動していくものと見られます。
これから不動産の売却をお考えの方は、ご所有の不動産の価値を継続的にチェックしていくことをおすすめします。弊社が定期的に査定させていただくことも可能ですので、どうぞご活用ください。